労働災害事例：車両系建設機械

分類：車両系建設機械

 

ドラグ・ショベルでU字溝をつり上げ作業中、U字溝に激突される。

　         

【発生状況】

造成地内の道路の両側にU字溝を敷設する作業において、ドラグ・ショベルでU字溝をつり上げて移動させていたところ、被災者に激突した。

 

災害が発生した工事は、田圃を宅地造成するものであり、造成地の中央部の道路の両側に側溝を作る作業を行っていた。側溝はコンクリート製U字溝(長さ2m、幅上部50cm、底部40cm、高さ45cm、重量380kg)を敷設することにより構築するものであり、前日までにU字溝敷設予定箇所の掘削をドラグ・ショベルを使用して終えていた。

災害発生当日、U字溝を敷設する作業に取りかかった。U字溝の中央部分にあるネジ穴にL字型ボルトをねじ込み、L型ボルトに吊りビーム(天びん)を掛け、Aが運転するドラグ・ショベルのバケットに取り付けられたフックに掛ける作業、被災者とBは溝の中でドラグ・ショベルにより運ばれてきたU字溝のつりビームを外し、U字溝を設置する作業を行っていた。

敷設したU字溝に続き、また折れる箇所に8個目を敷設することになっており、7個目のU字溝との接続の関係で、8個目のU字溝については片側の一部分を縦25cm、横40cmの大きさで切断した。

その後、BとCが午前中と同じ要領でL型ボルトにつりビームを掛け、AがU字溝を吊り上げると、切断した側が軽くなったため斜めづりの状態になった。

斜めづりの状態のままAは被災者とDがU字溝を布設するために待機している方向にU字溝を移動させた。被災者とDの間にU字溝が運ばれてきたと同時に、反動でU字溝が図2のようにL型ボルトを支点に180度回転して、被災者に当たり死亡した。

なお、L型ボルトには大きな変形等は見られなかった。

             

【原因】

• ドラグ・ショベルをつり作業に用いたこと。

• U字溝の重心が偏っている状態でつり移動させたこと。

• 不安定な状態でつり上げられたU字溝の周囲に作業者を配置したまま作業を行ったこと。

             

【対策】

• つり作業については、移動式クレーンを用いること。

• つり上げた荷と接触またはつり上げた荷の落下により作業者に危険が生じるおそれのある箇所に作業者を立ち入らせないこと。