労働災害事例：熱中症

分類：熱中症

ボックスカルバート築造工事において発生した熱中症。

【発生状況】

被災者Aは、本工事の現場責任者として作業の指揮を行っていた。

災害発生当日は通常どおり午前8時頃現場に入り、建築中アパートの4階床においてスラブ張り、ベランダ部の型わく組、目地棒のシミ出し等の作業を行うとともに、これら作業の指揮を行っていた。

この間、午前10時から約20分、さらに正午から1時間の休憩をとり、午後1時30分頃から、3階ベランダ部の型わく組に使用した1枚30kgの型わく資材約100枚を4階ベランダ部に使用するため、3階から外部足場を使用し4階に運び上げる作業を行った。

午後3時頃、被災者Aは他の作業者に休憩を指示したが、その直後突然倒れ、けいれんを起こしそのまま意識を失い、午後3時15分頃、熱中症により死亡したものである。

【原因】

【対策】

気温、湿度、気流等の作業環境条件と労働強度を十分に把握し、適切な作業時間、休憩時間の配置を行う。
適切な休憩設備を設ける。
日頃から、作業者の健康状態を十分把握し、異常の認められる者については作業につかせない。
水分、塩分の適切な摂取を行う等の措置が必要である。
さらに、熱中症の発生するおそれのある作業においては、その初期症状に注意することがきわめて重要である。その意味で大切なのは発汗作業の減退である
高温条件下の作業に従事していて、それまで盛んに発汗していたのが、急に汗の出かたが少なくなれば、熱中症の危険がせまっていることになる。また、体温の上昇や脈拍の増加も有効な所見となる。いずれにしても、熱中症の初期症状が認められた場合は、ただちに適切な措置を行う必要がある。
このため、熱中症の発生するおそれのある作業に従事する者については、熱中症及びその予防対策、さらには発生した場合の応急措置に関し、十分な教育を行うことが重要である。