
労働災害事例:移動式クレーン車
分類:移動式クレーン
移動式クレーンにつられたシートパイルに激突される。
【発生状況】
コンクリートパネル(以下「コンパネ」という)をトラック
クレーンに積み込む作業において発生した。
災害発生当日、道路改修工事の現場において、被災者他1名
は、径3mmの番線で2箇所を固縛してあった使用済みのコ
ンパネ(大きさ0.9m×1.8m、41枚、重量約820kg)にトラック
クレーンを横付けし、積み込む作業を開始した。
この時、コンパネの反対側の側面には、角材と鋼管の束が
コンパネに接して山積みされていたため、玉掛け作業の邪
魔になり、コンパネの下に吊りチェーンを通せなかった。
被災者は、コンパネの2箇所を固縛してあった番線に、
それぞれ吊りチェーンの両端のフックを掛け、これをトラッククレーンのフックに掛け、荷を一旦、50cm程吊り上げた。その後、コンパネの中央に玉掛けするため、別の吊りチェーンをコンパネの中央に掛け渡して荷の両側に垂らし、被災者がトラッククレーン側からコンパネの反対側側面に垂れ下がった吊りチェーンの先端を引き出すため、吊り上げたコンパネの下に首あたりまで潜り込んだ。
このとき、吊りチェーンを掛けていた番線が荷重に耐えず切断し、被災者の頭部に重さ約820kgのコンパネが落下した。直ちに、被災者を救出したが、脳挫傷のため病院で死亡した。
【原因】
-
小型移動式クレーンの玉掛け業務において安全管理がなされていなかったこと。
(1)資格を有しない労働者を業務に就かせたこと。
(2)地切りを行う際に、荷を結束している強度が不十分な番線に、つりチェーンのフックを掛けて荷をつり上げる等の不安全な玉掛け作業が行われたこと。
(3)地切りした吊荷に玉掛けを行う際に、吊荷の奥側に垂らした吊りチェーンを吊荷の手前側から引き出すために吊荷の下に入ったこと。
-
つり上げ荷重が1t以上の小型移動式クレーンの運転業務を無資格者に行わせたこと。
-
移動式クレーンを用いて作業を行う際に、作業の方法を定めていなかったこと。
-
一の荷でその重量が100kg以上のものを貨物自動車に積み込む作業について、作業手順よび作業方法を定めていなかったこと。
-
労働者に対する安全衛生教育が徹底されていなかったため、吊荷の下に入る等の不安全行動を行ったこと。
【対策】
-
つり上げ荷重が1t以上の小型移動式クレーンの玉掛けの業務および小型移動式クレーンの運転業務
には資格を有する労働者を就かせること。
-
荷をつり上げる際には、十分な強度を有する箇所または吊り具に玉掛けすること。
-
地切りをした荷に玉掛けをする際には、荷の下に労働者を立ち入らない作業方法により行うこと。また、安全作業に適した玉掛け用具の選定と使用の徹底を行うこと。
-
移動式クレーンでの作業および一の荷でその重量が100kg以上のものを貨物自動車に積み込む作業を行う際には、作業手順および作業方法を定め、作業開始前に関係労働者に周知徹底を図ること。
-
あらかじめ移動することの明らかな仮設資材等を仮置きするときには、移動する資材と付近に仮置きした資材に、ある程度の間隔をとり、容易に玉掛けが出来るようにしておくこと。
-
作業者に対して安全衛生教育を徹底して行い、現場内の不安全行動を排除すること。


