
労働災害事例:型わく支保工
分類:型わく支保工
コンクリートの打設中、型わく支保工が倒壊。
【発生状況】
地上28階、地下3階建ての住宅兼店舗の新築工事に
おいて、地下2階のスラブのコンクリート打設終了後、
コンクリートのバイブレーター掛けや、コンクリート
表面の均し作業を行っていた際に発生した。
現場ではVH分離方式という方法を採用し、この方法に
よりコンクリートの打設作業を、壁、柱等へ行う場合と
スラブ等へ行う場合の二回に分けて行っていた。
災害発生当日は、このVH分離方式により地下2階の
スラブへのコンクリート打設作業を行っていた。
午後5時過ぎ頃、現場中央やや東寄りの地下2階の
スラブ上において、打設し終わったばかりのコンクリートに対し、B、Cの2名はバイブレーター掛けを、D、Eの2名はトンボを使って均し作業を行っていた。ところが、午後5時25分頃、この4名が乗っていた部分のスラブが、突然、沈み込むようにして倒壊した。このため、この4名は地下2階床部分まで約6m墜落し、負傷した。
【原因】
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構造計算を行った結果、計画通りに水平つなぎ、根がらみ等が取り付けてあれば、型わく支保工が倒壊することは考えられない。したがって、水平つなぎ等は入っていたものの、その取り付け方に問題があったと思われる。
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型わく支保工の点検は一応行なわれていたものの、それが十分に行なわれておらず、点検方法がずさんであった。
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事業者が型わく支保工の組立作業主任者に対し、上記点検に対する教育を十分行っていなかった。
【対策】
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コンクリート打設前に、型わく支保工の各部材が設計図面通りに正確に取り付けられているかを点検し、すべての水平つなぎ、根がらみ、また、その取り付け金具について正確に取り付けられているか点検すること。
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事業者は作業主任者に対し型わく支保工の点検方法等について入念な教育を行う必要がある。
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事業者は、型わく支保工の組み立て順序や、水平つなぎや根がらみ等の締め付け位置を明確にするなど、安全な作業方法を確立する必要がある。


