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労働災害事例:法面崩壊

分類:法面崩壊

 

道路拡幅工事で掘削した法面が崩壊し、作業中の3名が生埋め。

          

【発生状況】

道路拡幅工事において掘削した山側の切土法面が頂部から突然崩壊し、作業中の3名が生き埋めとなった。

 

災害のあった現場は延長約200mの道路拡幅工事で、掘削個所の高さは52m、勾配は59度から64度で設計されていた。

掘削作業は、ブレーカー等による機械掘削で行われ、一部の固い岩盤の個所は発破により掘削し、掘削作業が終了したあとは法面防護工として現場吹付け法枠工、アンカー法枠工を採用していた。

災害発生当日は、前日から雨が降ったり止んだりの天候であったが、X建設の専属下請Y社は作業者4名でモルタルを吹き付けた法面にラス金網を張り、フリーフレームと呼ばれる法枠を取り付け、その法枠を固定するために削孔機とハンマーでアンカーピンの打ち込む作業を行った。

法面左半分を完了し右半分に取りかかり、班長Aと作業者Bは下から4段目、作業者CとDは2段目で作業を行っていたとき、法面が左上部から右下部にかけて崩壊し、作業中の4名のうちB、C、Dの3名が生き埋めになり、3名とも死亡した。

             

【原因】

  • 工事現場の法面は、今回の崩壊の前に数度にわたって小規模の崩落があり、災害の発生した個所の下方部分がオーバーハングの状態になっていたこと。

  • 土砂崩壊の発生のおそれがあったにもかかわらず、作業を続行させていたこと。
    前日には工事現場の地域に大雨警報が発令される程の降雨があり、工事現場から約1kmはなれた地元の雨量観測所における観測では、前日の午前0時から当日の午後4時までの間に170mmの降雨が記録されている。

  • 元請の現場責任者が不在であったため、降雨等で崩落のおそれがあるにもかかわらず、作業を中止させる等の適切な指示がなされていなかったこと。

  • 降雨等による危険が予想される場合の作業中止等の基準があらかじめ定められていなかったこと。

  • 下請事業場を含む統括安全管理体制が確立されていなくて、安全管理が不十分であったこと。

             

【対策】

  • 大規模な掘削工事を行う場合には、事前にボーリング等により地質調査を実施し、それらの調査結果に応じた施工方法を採用すること。

  • 掘削面の勾配については、地質等に応じた安全なものとするとともに、法面の高さが高くなる場合には小段を設けること。
    また、崩壊等により掘削面の勾配が危険な状態となったときには、安全な勾配に改修し危険な状態を是正してから作業を行うようにすること。

  • 切土法面の地山の状況、湧水の状況、気象状況等について常時観察する体制を整備しておくとともに、異常があった場合等における一定の作業中止の判断基準等をあらかじめ定めておくこと。

  • 工事現場の危険評価を行い、安全計画を立てて、下請事業場を指導するとともに、元請の現場責任者が常時現場を巡視するなど元請と下請が一体となった安全管理を実施すること。

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