
労働災害事例:感電
分類:感電
地下駐車場のピット内でアーク溶接機のホルダーを足場
に掛け、3人が感電。
【発生状況】
地下立体駐車場のピット内工事で発生した。
災害発生当日、ピット内の壁面にステンレス製アングル
の枠を据え付ける工事を請け負った1次下請業者Z社の
作業者Aほか、計4人の作業者は、朝からアングル材の
据付作業に取りかかった。AはZ社が現場に持ち込んだ
アーク溶接機を使用して作業を始めたが、アークが弱く
十分な溶接ができないため、いったん作業を中断し、
元請業者が持ち込んでいたアーク溶接機を借りて作業を再開した。
午後になり、別の1次下請業者Y社の作業者2人が入場し、ピット内で枠組足場の組立を始めたが、Z社の作業者4人は午前中に引き続き、アングル材の据付を行っていた。しばらくして、それまで徐々にしみ出ていた漏水がピット内で深さ5cmほどの水たまりとなり、アーク溶接を続けると感電するおそれがあると判断したAは、作業を中断し、溶接棒のホルダーを足場の筋交いに掛け、足場を上り始めた。そのとき足場に手を掛けながら上っていたAと足場の根元で作業していたY社の作業者2人が感電し倒れた。3人は病院に運ばれ数日間入院した。Aが溶接棒ホルダーを筋交いに掛けたとき、アーク溶接機の電源は入のままであった。
Aが元請業者から借りたアーク溶接機は、自動電撃防止装置内蔵型のものであったが、20年前に製造されたもので、自動電撃防止装置は故障していて機能していなかった。Aはアーク溶接機を借りた際、元請業者のものであることから点検をしないまま溶接作業に使用していた。
AはZ社に入社して半年であり、アーク溶接等の業務に係る特別教育を受けておらず、同僚を真似て溶接作業を行っていた。また、Z社では作業者の資格や特別教育の受講歴を確認していなかった。
【原因】
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電源を切らないまま溶接棒ホルダーを枠組足場の筋交いに掛けたこと。
Aが作業を中断した時、アーク溶接機の電源を切らずに溶接棒のホルダーを枠組足場の筋交いに掛けた。そのため、アーク溶接機→ホルダー→足場→作業者→足場→水たまり→アーク溶接機の回路が形成され、3人の作業者が感電した。 -
アーク溶接機の自動電撃防止装置が機能していなかったこと。
Aが元請業者から借りて使用していたアーク溶接機は、自動電撃防止装置内蔵型のものであったが、20年前に製造されたもので自動電撃防止装置が故障し機能していなかった。また、Aはこのアーク溶接機の点検をしないまま、溶接作業していた。 -
特別教育を受けていない作業者にアーク溶接の作業を行わせたこと。
Z社では、作業者の資格や受講歴を確認せずに、作業に従事させていた。その為、Aはアーク溶接等の業務に係る特別教育を受講しておらず、アーク溶接機の点検、感電防止措置等の知識がないまま、同僚を真似てアーク溶接を行っていた。
【対策】
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作業者がアーク溶接作業を中断した時は、溶接機の電源を切らせること。
アーク溶接作業を中断した時は、通電状態の溶接棒等による感電を防止する為、溶接機の電源を切ることを作業者に周知徹底する
また、溶接作業場所の周囲に水たまりや金属製の構築物等、導電性のものがある場合は、それらを経由して感電災害が起こることがあるので、アーク溶接機、コード、溶接棒ホルダー等が触れないようにすることも重要である。
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自動電撃防止装置の機能等を確認すること。
鉄骨等の導電線が高い接地物に作業者が接触するおそれのある場所で交流アーク溶接機を使用する場合は、自動電撃防止装置が内蔵されたもの、または外付け型の自動電撃防止装置を取り付けたものを使用する。さらに、作業開始前に自動電撃防止装置の作動状況を必ず確認するほか、溶接棒ホルダーの絶縁性、コード類の絶縁被覆の状態を確認し、不良なものは取り替えることも重要である。
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特別教育を実施すること。
アーク溶接機を用いて行う溶接、溶断等を行う作業者に対しては、作業に従事する前に事業者が特別教育を実施するか、または教習機関等が実施する特別教育を受講させる必要がある。


