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デザインブック

労働災害事例:墜転落

分類:墜転落

 

橋台用の型枠を吊り上げ中に墜落。

 

【発生状況】

橋台の建造作業中に発生した。

 

この工事は、2つの橋台と1つの橋脚で構成される橋梁を建設するものであるが、災害は橋台の型枠組立に付随する型枠の荷上げ作業中に発生した。

前日までに橋台の型枠7段目までのコンクリート打設が終了しており、災害発生当日は最後の10段目の型枠取り付け作業を行うことになった。被災者は地上で型枠の束の玉掛けをして足場に昇り、移動式クレーンの運転士に合図をして荷の取込み、玉外しを行っていたが、型枠6枚を束にして吊り上げたところ、風で荷振れしたので、再度地上に降り、6枚束を2組にして玉掛けをしたのち足場(高さ約13m)に昇り、合図して吊り上げたところ、型枠で被災者の姿が運転士の視界から一瞬消えたときに、足場上から転落し死亡した。

             

【原因】

  • 作業を開始した時には、山間部でもあり、かなりの風が吹いていたので移動式クレーン運転士が「無理だから止めよう」と再三言ったのに、被災者が「大丈夫」と言って、荷振れを止めるため型枠を倍にして吊り上げさせるなど作業を強行したことが原因の一つである。なお、現場付近の風速は、4~5m/秒と推定される。

  • 墜落直前の被災者の動作の目撃者はいないが、被災者の立っていた足場には92cmの高さにパイプ手すりが取付けられていたので、通常の状態では墜落することが考えられないので、足場の高さに来た型枠を手で取り込もうとしたときに、手すりを乗り越えたか、手すりと足場の作業床との間から墜落したものと推定される。

    なお、被災者は、命綱は着帯していたが、使用はしていなかった。

  • 朝のミーティングで現場責任者から「風が強いから気をつけるように」との注意があったが、作業が開始されてからのち、現場の状況を見ながら適切な指示などは行われていなかった。また、被災者は、大工職であり、玉掛けの資格者ではないのに、玉掛け・玉外しの作業を行わせるなど安全管理を行っていなかった。

             

【対策】

  • 10分間の平均風速が10mを超える場合には移動式クレーンによる作業は禁じられている(クレーン則第74条の3)が、それ以下の風速であっても荷振れ等を増幅するおそれがあるので、現場責任者はその時々の状況を判断し、作業の中止などを命ずることが必要である。

  • 吊り上げ荷重が1t以上の移動式クレーン等の玉掛け作業は有資格者でなければできないことになっているので、そのような作業の場合には必ず有資格者を配置しなければならない。

  • 作業床と手すりとの間隔が90cmもある時には、中間に中さんを取り付けること、又は命綱を取り付けて確実な墜落防止を行うことが必要である。

  • 現場責任者は、ミーティング等において抽象的な注意を行うだけではなく、具体的に指示をするとともに、作業状況をチェックし、作業中止などの適切な指示を行い、安全管理を徹底することが必要である。
    また、あらかじめ、作業に必要な人員、資格者の配置を行うとともに、作業方法・手順を明確に定め指示することが必要である。

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